始まりは、奈良県内の複数の繊維メーカーの青年部有志によるグループが生まれたことでした。1994(平成6)年9月、グループ企業を主体に協同組合エヌエスが発足したのです。
「ものづくりを通して地球環境を守っていきたい」という使命感から、農薬や化学肥料を使わずに栽培するオーガニックコットンを使って製品を開発し、販売を始めました。
しかし、しばらくは全く売れず、取り扱い店舗も増えませんでした。当時は、ナチュラルでエココンシャスな製品を扱う店舗がとても少なかったのです。
それでも完全に心が折れることがなかったのは、ものづくりへの信念があり、何よりも自分たちが製品を使って「良いものだ」と思えたからでした。
転機は2000(平成12)年、東京で開催された「Eco Expo2000」というエコロジー展示会へ出展したこと。有機野菜などの宅配サービスをしている大手企業の取り扱いが始まり、初めて流通にのりました。
2006(平成18)年には、実際に栽培地を確かめようと、大正紡績の担当者とアメリカ・ニューメキシコ州にあるドーシー・アルバレスさんの農場を訪ねました。すべての作物をサステナブルな有機農法に切り替えた農場で、トレーサビリティがしっかりしていることを確信。現地では、オーガニックコットンの栽培に大きく貢献したサリー・フォックス氏と会うこともできたのです。オーガニックコットンの製品は日本で喜ばれているという話をすると、うれしそうな表情を見せてくれました。
以来、いろいろなイベントなどを通じ、製品を手にとってくださるお客さんが増えていきました。